第60章
結び目が見当たらない。どうやら武史か自分の背中のほうで結ばれているようだ。
しかし滑り込んでくる武史の舌に陽子の手はその動きが弱々しくなった。
「…昨日は素敵だったよ…」
こじ開けられた唇がたやすく開き、武史が陽子の舌を追い求め絡み合おうとする。
寝起きにまだぼんやりしてる意識で抵抗することがあまりできない。
「…あが…あああ…」
舌が口の中から取り出され、突き出したままになる。武史はそれをいとおしくしゃぶりながら囁いていた。
「…激しかったもんね…ヨウコはなんべんイッたの?…」
「…あが…あは…」
「…ヨウコイキまくってたよね…あんまり可愛いからそのまま眠ろうと思ったんだ…」
「…あは…あぶあ…」
「…どう?マンコにチンポくわえこんだまま一晩を過ごした感想は…」
「…あああ…やあはああ…」
武史の手が自らの背中に回り、ごそごそと縛っていたものを解いた。かくんと少し体が外側に傾いたがその手は腰に回した陽子の片膝をがっちりと引きつかんで逃げるのを許さなかった。
…ずんっ…
「…かはああっ…」
武史は陽子の膝を引き入れながら腰を突いた。舌が引っ込み溜息に混じって唾が勢いよく武史の顔にかかる。
「…約束どおり一晩一緒にいてくれたもんね…うれしいよ…」
「…くあああ…ああっ…」
…ずんっ…
「…朝起きるとおっきくなってるんだよね…男の生理だけど今朝はどうもいつもと違う…」
「…あはああ…」
「…朝から欲情したのははじめてだよ…」
…ズンッ…
「…ああっ…やっ…」
「…どう?ヨウコは起きてすぐでもイッちゃう?…」
…ズムッ…ズンッ…
「…ハアアッ…ハアッ…」
「…ハアアッ…そんなに中うごかさないで…すぐ出ちゃうよ…」
「…ヤアッ…ハアアッ…」
「…だめだっ…がまんできないっ…アアッ!…」
…ドクッ…
火照りきらない身体に熱いほとばしりが奥に流れ込んでくる。身体に大きな串を刺されたようだった。二人の身体がお互いにのけぞる。
「…アグウゥ…ウウゥ…」
「…オッ…オッ…」
…ドプッ…ドクッ…
「…まだ…ま…だ…」
武史が掛け布団をガバッと跳ね除けた。二人の裸体が新たに露わになった。
数秒の間だった。膝を開放した武史はペニスを陽子から抜き取った。
…ヌボッ…ゴボッ…
素早く武史は陽子の裸体を仰向けのまま時計の針のようにスライドさせた。陽子の身体はベッドに対してちょうど直角の方向に横たわった。両膝を立ててM字に広げ、武史は陽子の顔を跨いで上にしゃがんだ。痺れたように陽子の身体には全く抵抗する力がなかった。
そして両手で陽子の頭を持って起こした。
陽子の目の前に一瞬、その光景が見えた。ひどい状況になっていた。ペニスは白い液で覆われその肌地が見えないほどだった。それは根元回りまでも覆っており、陰毛にシェービングクリームのように厚く貼りついている。粘度の高そうな白い粘液がペニスからボヨボヨと糸も引かずに垂れそうに、中の原型を隠していた。
しかし陽子がそれを見たのは一瞬のことだった。すぐさま武史は陽子の口の中へと精液まみれのペニスをねじ込んだ。
…ブビュルッ…
侵入してくる間に肉塊が脈動して新たな淫液を喉に向けてほとばしらせた。
逆流するのをとどめるかのようにしゃがんだまま武史は陽子の頭を寄せ入れてさらに奥までペニスをねじ入れる。
…ズズズッ…ベチョッ…
唇と鼻が根元の陰毛と淫液の固まりに包まれた。口の中のものが懸命にこらえたひとときから開放されて律動を再開させる。
…ビュッ…ビュルッ…
「…オッ…オオッ…」
「…んっんんっ…んおんっ…こくっ…ゴクッ…ゴクンッ…」
吐き出す事もできたはずだ。しかし喉は自然に鳴った。
口の中にこのモノが吐き出すこの匂いと味のするものを"飲み下す"ことを、身体が嫌がっていない。
(…わたし…飲んでる…頭持ち上げられて…口に差し込まれて…チンポ…)
何よりも武史の体勢が物語っていた。足を開いてしゃがんだ姿勢で陽子の頭を両手でおさえている。そして腰を動かさずに手で陽子の頭を動かしながらその中に液を放出させていた。いかにもそれは排泄行為のしぐさに思えた。
(…わたしの…ゴクッ…口使って…処理してる…中に…排泄…わたし…ゴクッゴクンッ…トイレみたいに…)
もはや身体が精液の味に馴染んでしまって拒否反応を見せなくなっていた。熟睡からさめたばかりの身体が水分を欲し、タンパク質の十分な液体を吐き出すことなく嚥下する。出てくるそばから飲み干していた。口の中に溜まることがなかった。
(…だめ…ごくっ…これじゃわたし…ほんとうに…コクン…べん…き…)
「…ハアァッ…オウッ…」
「…ゴクン…ンッ…ゴクッ…」
(…朝起きてすぐ…男性の…せい…え…き…の…んでる…お…べん…じょ…)
やがて注入される液の量は減り、肉塊は空気の抜けた風船のように中で小さくなっていった。
中でピクピクと波打つ陽子の舌の感触を味わいながら、武史は頭を股間から引いていく。
抜き取る半ばで武史はしばらくの間手を止めた。何か考えているようだった。
「…いや…だめだ…」
そうつぶやくとそのまま抜き取った。ペニスが離れて陽子の唇がゆっくりとしまっていく。
口の周りが白いネバネバに覆われている。しかし口の中からこぼれる液体は一滴もなかった。
…ゴクン…
喉を鳴らす音が朝日の差し込む静かな部屋に響いた。