第47章
赤い湯船にはすでになみなみとお湯がはってあった。水面からかすかに湯気が出ている。広いバスルームだった。
陽子が縛られて一体となった椅子は洗い場中央の壁寄りに置かれた。ゴトッという衝撃が便意を刺激する。
「うっ…ううっ…」
陽子は目をつぶって波をやり過ごそうとしていた。
便意が過ぎ去るのを待ってかすかに目をあけると、目の前の正面にもこらえている女性の顔が見えた。陽子の顔だった。
真正面に大きな鏡が壁に貼り付けられていた。椅子と1メートルぐらいしか離れてなかった。股を開いて股間全部を丸見えに縛られ押し広げられている陽子が中にいた。
「いっ…いやあーーー!!!…」
精液でまみれた陽子の顔が映っていた。胸を絞られるように縛られている陽子が映っていた。手足をがんじがらめに縛られ身動き一つできないでいる陽子が映っていた。そして上向きになるぐらいに割り開かれて、はっきりとさらけ出された女性器と肛門が映っていた。
(ああっ!…頬から垂れてるっ…白いの浴びせられて…股広げて…浣腸されてっ…濡れてるっ…)
陽子は生まれてはじめて自分の股間がどういうものかを見た。いつも下のほうに見ている陰毛は実は恥丘のところにしか生えていなくてピンクの筋のような縦長の唇とその下の蕾の部分は無毛であるのをはじめて知った。しかしこの体勢ではそれがかえって恥ずかしさを際立たせていた。
よく見える女性器と、特に肛門がヒクヒクと動いていた。必死に中からの噴出をこらえている。限界が近かった。
「おねがいっ!おねがいっ…トイレにいかせてっ…おねがいっ!…」
(でちゃう…もれちゃうぅ…)
「…いかせてあげるよ…ヨウコ…もう少し我慢したほうがすっきりするから…」
武史は落ち着いた声で話している。鏡のすぐ横のシャワーの石鹸置きにカメラを設置した。
「…もうだめっ!…もう…だめなのっ…」
(こんなかっこで…こんなところで…できないっ…)
「…もうちょっと…」
「…だめっ…なんでもするから…トイレに…おねがいっ!…」
(ひとがみているまえでなんか…あああ…)
「…これが言えたらトイレに連れてってあげるよ…」
武史が陽子に耳打ちする。陽子の顔がさあっと蒼ざめた。
(!!!!!!…)
「長いかな…もう一度言うよ…」
武史が囁き続ける。さらに陽子の顔が恐怖の面持ちに変わっていった。
「…いえないっ!!…そんなこと…いえないっ…いえないっ!…」
「…じゃあそのままだ…トイレじゃないとこ汚してしまうの?…」
「…あっ…あうっ!…」
襲ってくる苦痛に陽子の顔がゆがむ。
(だめ…そんなこと…だめっ…)
「…うう…ううう…ううーーーっ!…」
「…」
(…言ったら…おしまい…だめっ…)
「…」
(…もれ…る…で…ちゃう……)
「…」
「…あ…あ…よ…よ…」
(だめっ…だめっ…がまんできないけど…だめっ…)
「…」
「…よ…よ…う…こ…こ…う…うん…ち…が…が…まん…で…き…な…ませ…ません…」
(…や…や…いやっ…)
「…よ…よう…こ…ぶ…ぶり…ぶり…うん…ち…しま…す…」
(…だめっ…だめえっ…いやあっ…)
「…よ…よ…よ…うこ…ど…どど…」
(だめっ…だめっ…だめえっ…)
「…ど…ど…どれ…い…に…なり…ま…す…」
(だめええーーーーーーーっ!!!!!!……だめええーーーっ!!!…)
「…いん…らんな…どれ…い…に…ザー…メン…いっ…ぱい…そ…そそ…そそぎこ…んで…ください…」
(やめてええーーーーっ!!!!…だめえっ!…いやあーーーっ!!!…)
「…もう一度だ…ヨウコ…」
(!!!!…そんなっ…もうだめっ…)
「…あ…あぅ…あぅ…」
(…がまんできないぃぃ…)
「…ようこ…陽子…ウンチ…我慢…できません…陽子…ブリブリ…ウンチします…陽子…奴隷になりますっ…い…淫乱な奴隷に…ザーメン…いっぱい…そ…注ぎ込んでくださ…い…」
「…よく言えたね…」
「…はっ…はやくっ!…ほどっ…ほっ…」
武史は身体を起こすと陽子の顔をこちらに向けた。陽子の鼻先目の前にペニスが突きつけられた。
(!!!!…)
「わかってるだろ…奴隷になるんだ…ヨウコ…」
「…あ…あ…」
時間の猶予がなかった。考えている暇がなかった。
「…あ…あ…あむっ…んぶっ…はむっ…」
「…ぇぁあ…いいよぅ…もっと…しゃぶりまわして…」
「…むむむっ…えぶっ…あぶっ…はむっ…」
陽子の舌が狂ったようにペニスを這い回る。その動きを腰を動かしながら武史はゆっくりと味わった。
「…ああ…また出そうだ…」
「…んむっ…んんんーーーっ!!!…んんっ!…んんんーーー!!!…」
限界だった。身体から脂汗が出ていた。内側からの力がどんどん増していってダムの門がいまにも決壊しそうだった。
ペニスを頬張りながら舌の動きが止まった。咥えさせたままで断末の声を聞いた武史は、口から固い欲望を抜き取り言った。
「…よし、トイレに行こう…最後だヨウコ…」
(あああっ!やっと…)
「前を向いて、目を開けて、はっきりと、さっきの言葉を…五回繰り返すんだ…」
(!!……!…)
「…あ…あ…」
「ホントにこれで最後だから…ヨウコ…がんばって…」
「…あ…よ…陽子ウンチ我慢できませんっ…陽子ブリブリウンチしますっ陽子奴隷になります淫乱な奴隷にザーメンいっぱい注ぎ込んでくださいっ…陽子…」
「…目を開けて…そう…」
「…ああっ…我慢できませんっ!陽子ブリブリウンチしますっ!陽子奴隷になります!淫乱な奴隷にザー………あ…あくあっ…」
大きい波がゾゾゾッと襲ってきた。肛門がヒクヒクしているのがはっきりとわかった。おなかのゴロゴロいう音が鳴りっぱなしだった。
「…メッ…ううっ…うううっ…注ぎ…」
身体の一部でも動かすことができなかった。もう間に合わない。ここで開放されたところで、トイレまではもう辿り着くことはできないだろう。このままの体勢で排泄するしか道が残されていなかった。
「…みな…い…で…で…でて…って…おね…が…い…」
「…こんなとこで漏らしちゃだめだよっ…股全開でオモラシするなんてみっともないっ…続けるんだヨウコ…」
「…あ…う…陽子…うっ…ウンチッ…ブ…リブ…リ…どれ…ど…れいに…」
波が引いていかない。中から突き破ろうとする力が治まらない。
「…ウンチ撒き散らすの?…人の見てる前でウンチするなんて…」
「…ザー…メン…いっぱ………あ……」
…ぴゅるっ…
鏡の前で椅子に縛られて自分ではっきりと見える肛門から一筋の水しぶきがあがった。
「…く…くふぁっ…う…そそぎこ…」
「…こんな格好でウンチするつもり?…ここで?…ここトイレじゃないよヨウコ…ここでしたら全部ビデオに撮られるよ…」
「…ふふぅっ…ふっ…ううっ…」
必死にこらえる陽子の呼吸がバスルームに響く。ビデオカメラと鏡が陽子を凝視していた。いったん開いた門めがけて直腸が出口を求めて激しく蠢く。
「…ド…レ…イ…」
ぴゅっ…ピシュッ…ビシュッ…
肛門がパクパクと収縮し始めた。
「…み…な……お…ね…がいぃ…みな…い…で…」
「みてあげるよヨウコ…ヨウコの排便ショーだ…」
「…あああっ…」
「…続けて…」
「…よ…こ…ブリ…ブリ…ウン…ウン…ウン…チ……ウンチ…」
…ビュッビュッ…ビシューッ…
水しぶきが弧を描き鏡の下のほうに当たった。しかしただの水ではなかった。黄色く濁っていた。たちまち異臭がバスルームに立ち込めた。
陽子はその異臭に、改めて自分のおかれている立場を知った。
(わたし…いま…あたしいま…ここで…だすの?…ウンチするとこ…みられながら…するの?…いまからウンチ…撒き散らすの?…ウンチする…はいべん…排便…ショー…)
「…いやあああああっ!!…」
…ブシュッ…ブシューーーッ…ピピッ…ブピッ…
「イヤッ!イヤッ!…聞かないでっ…見ないでっ…みないでっ!…」
浣腸器で入れられたものか、それとも陽子自身に溜まっていたものなのか、空気の漏れる音がタイルにこだまする。
ブブッ…ブビッ…ブブッ…ブッ…
濁水と空気を押し出したせいで波が引いていった。とりあえず頂点をやり過ごした安心感にホッとした。
(はあ…ああ…まだ…ま…だ…ま…)
しかしそれもつかの間の一瞬だった。
すぐに濁流はきびすを返し、おなかのなかでゴロゴロと音を立て暴れまわりながら容赦なく一度堰を切った肛門へ突進していく。
「…あ…ああっ!…うあっ!…」
…ブバッ!…ビシャッ!…
「いやーーーーーーーーっ!!!!!!…」
茶色くやわらかい固形物が宙を舞い、床に激突した。
「やっ!やっ!やっ!いやーーーーっ!!!!!…」
ブブッ…ブリッ!…ブァッ!…ボババッ!…
瞬く間に強い匂いがバスルームに充満していく。肛門を必死で閉ざそうとするが、中から次から次へと脱出物が飛び出していく。砲弾が床を何回も直撃するのを鏡で見ていた。タイルにバウンドした少量のしぶきが、鏡に小さい点々をいくつも作っていく。
そのとき身体がふわっと浮いた。いや、浮いたのではなく後ろにすこし倒れた。武史が椅子の後ろ足を支点に前足を浮き上がらせ傾けていた。固くこぶしを握っていた陽子の両手が開いて椅子の後ろ足を掴んだ。縛られた上に地が不安定になって恐怖を感じたがそれでも便意は治まらなかった。
「…いやっ…うああっ…ううっ…うううっ!…」
…ボバッ!…バッ!……ビチャッ…ベチャッ…ブチチッ…
椅子が元の位置に戻ると景色が一変していた。
陽子の全身に、鏡に映った白く染まった顔の上を、べっとりと黄色いペーストが覆っていた。
それはどろりと垂れて鏡の中の陽子全身を包んでいった。
「…いや…いやあああ…」
…ブリッ…ブスッ…プスーーー…
おなかの痛みが空気の音と共に徐々に引いていく。
…スーーーッ…………モッ…ンモッ…
今までとは違ったあまり柔らかくないものが顔を出した。
…も…もりっ…ぶぷっ…ぶゅりっ…もりもりっ…
「…は…あ…あ…」
ソーセージを作る機械のように肛門から便がぶら下がっていく。肛門は力が尽きていた。くびれのない塊が時間をかけて下がっていく。
「…あ…あ…」
終端が出るとぼそりと音を立てて床に落ちた。
…ブシャッ…ボシャッ…
塊が出切ってからも柔らかい排便が続いた。すでに陽子の泣き顔に表情がなくなっていた。全身から力が抜け、呆然と汚物だらけの蔭に見える精液まみれの顔が鏡に映っているのを見つめていた。
「…ぁぁ…」
…ドロッ…ドロブシャッ…ビビッ…ブヂュッ…………チョッ…チョロッ…シューーーーー…
オシッコが流れ出た。蛇口を緩めた一本の噴水のようにだんだんと大きな弧を描きながら鏡に届いた。さらに顔の位置へと昇っていく。
「……」
…シャーーーーーーー…ビチッ…ブリッ…ショーーーーー…ピシャピシャ…ピシャ…
「……」
小水が鏡の汚物を洗い流していく。精液まみれの自分の顔が陽子を見ていた。
ちょうど顔部分に当たる水流が鏡面をゆがませる。
口をだらしなく開けてゆがみのせいでかすかに微笑んでいるように見えた。