第53章
「…ゆるし…て…カメ…ラは…ゆるしてえ…」
陽子がうわごとのようにつぶやく。恥ずかしさとは裏腹の身体の火照りに混乱して、意識が朦朧としていた。
武史は足を開きひざ立ちになって陽子の上に屈み、頭の横に両手をついた。
「…ゆる…して…あっ…あっ…あっ…」
バスルームから出て以来、このベッドに上がってからその部分には一切何も触れるものはなかった。全身を唾液いっぱいに舐められ、肛門までもが愛撫されていても、武史は性器だけには一切刺激を与えていなかった。
そしてついいま、ビデオカメラというまた直接触れることのない"視線"という愛撫で、そのピンクの唇は蛇の生殺し状態に、ダラダラとヨダレを流し続けて渇望を訴える動物のように貪欲になってしまっていた。
おかげで触れずにその前をペニスが空を切るだけであられもない声がでてしまう。ひくっひくっと空振りの収縮を続けながら次から次へと愛液が溢れ出していた。準備万端どころかちょっとした刺激で達してしまいそうだった。
「…あっ…ひあっ…ああっ…ああああっ…」
…ぴちょっ…
「アイイィッ!…い…いっ!…いっ!…」
ペニスが入り口に触れた。それだけで陽子の身体は大きくビクンと揺れた。
しかしペニスは中に入ろうとはせず、亀頭をこちらに向けたまま武史の腰が動きゆっくりと前後に入り口を滑る。
直接の刺激をしばらくおあづけされていた花芯が異常なほど敏感になっていた。
「…いっ…いっ…いっ!…」
神経に快感が直接響いてくる。そこを覆い被さるすべてが剥げ落ちて愛液のせいで、まるで神経が剥き出しになった傷口をペニスで舐められているかのようだった。
「…わかってるんだよ…イイって言っちゃいな…」
「…あいっ…ああっ…やああっ…」
「…気持ちよくっていいんだよ…ヨウコ…」
武史のペニスがクリトリスに触れるか触れないかのところで潤った唇をこする。
…ヌニュッ…ニュニュッ…
「…ゆるし…あああ…やあああ…」
「…ああ…僕も気持ちイイよ…イイ…気持ちイイ…」
武史の息も荒くなる。見つめあいながら二人の喘ぎ声が交じっていった。
「…ああ…イイ…イイ…きもち…イイ…」
「…く…ああ…くうんん…ひ…ひ…ひ…ひ…」
「…いい…いいい…イイ…」
「…ひ…ひい…いい…いいいい…」
「…ゆるしてあげる…全部許してあげるよ…写真もビデオも他には出さないよ…」
「…い…いいい…いいいい…」
「…許してあげる…すべてヨウコのいうとおりにしてあげるよ…」
「…?…あ…ああ?…ああ…あふうんん…」
その言葉で陽子を包む遮蔽物が薄らいでいった。いままで自分を悩ませていた困惑が解決された開放感に心地よく包まれた。
しかし同時にその開放はすでに燃えたぎっている火に油を注ぐものだった。
陽子の頭にはその悩みが何だったのかすら残っていなかった。ただ、いまは自分を封じ込める問題がすっかり消えたことを薄れた思考の中で感じていた。
「…い…い…いい…い…イイ…イイイッ…」
目の前のものは、快楽だけ、だった。大きく燃えたぎる火で思考がどんどん薄れていく。
頭の中で抵抗を叫ぶ声は姿を消していた。
繰り返される陵辱の果てに、羞恥心さえも快楽を求める思いにかき消されていった。
「…いい…いい…いいよぅ…」
「…イイ…イイ…イイのぉ…」
「…ああ…あうぅ…」
自分に快楽を与えてくれるのは目の前で喘いでる男だけだった。絶望の淵にいた陽子の表情が、泣きじゃくったままだが目が見開いて相手に願いを懇願するそれに変わっていた。
「…いい…イイ…」
「…イイイ…イイ…あ…あた…し…もう…も…もう…ら…め…」
見つめ合ったまま、二人の求め合う喘ぎ声が混じりあう。発した言葉を陽子が繰り返すのを、武史が目で合図を送っていた。
「…ヨウコ…オマンコいい…」
「…イイ…イイ…ヒイ…」
「……ふっ…ふううっ…」
「…イイ…イイ…」
「………」
「…お…おま…おま…おま…ん…こ…いい…いい…」
「…んん…んん…ヨウコのオマンコ気持ちいい…」
「…ようこの…陽子のオマ…陽子のオマンコ…キモチいい…い…い…」
武史の眼を見つめ、訴えかけるように陽子の口から淫猥な言葉が抵抗を失って発せられていく。
「…ふう…ふうう…チンポ…欲しい…」
「…ち…ち…ちチ…チン…ポ…チンフォ…チンポ…ほし…ほ…ほしい…」
「…オマンコに…チンポ入れて…」
「…おま…おまんこ…オマンコ…オマンコに…チンポ…ほしい…ほしい…チンポ…チンポ…いれ…て…」