第49章
陽子はベッドに横たわりながら思っていた。
男性はいったん出してしまえば気は治まる。それは知識として知っていたつもりだ。しかし目の前の男は、あんなにも量を放出させたにもかかわらずその後考えられないような恥辱を自分に負わせた。しかもいまここにいる男は再び股間をたぎらせている。
(…あんなに出したのに…)
ケモノだ、と陽子は思った。ベッドの周りをうろついているのは、人間じゃなくケダモノだ、と思った。いま自分の身体はケダモノにいいように弄ばれている。
陽子の自尊心が蘇ってきた。こんなことでいいはずがない、好きでもない男にいいようにされるのは嫌だ、許されるはずがない、と思った。
口であれだけ早く果てた男だ、なんとか刺激を加えればまた、あっというまに達してくれるだろう、そうすればいいかげんそれで終わるはずだ。陽子は希望を捨てていなかった。道はまだある。
(…みちは…まだある…)
しかし問題は陽子自身の身体だった。さっきから男の顔を見ていない。視線は股間のいきり立ったモノに釘付けだった。さきほど湯船の中で半端に愛撫された下半身の中で確実に種火がくすぶっていた。どうやらいまでは絶え間なく、少しずつ愛液が分泌を続けているのが自分でもわかった。頭の中と身体がまったく別物に思えた。絶えず精液の匂いを感じながら陽子の意識は取り戻されていった。
ギシと音をたて武史がベッドに乗り近寄ってきた。依然ペニスは上を向いている。光る鈴口から透明な淫液がにじみ出ていた。陽子は手を伸ばした。
「…お…?…ああ…」
自分がなにをしているのか考えたくもなかった。震える手がペニスを這った。目的のためと心に言い聞かせながらも、身体と脳が痺れていた。武史がこちらに微笑みかけた。
すると武史が陽子の身体を裏返した。
「…?…んんっ…」
手がペニスを離れ、陽子はうつぶせにさせられた。
「…あっ!…ああっ!!…」
かがんだ武史が陽子の背中に舌を這わせた。
「…うっ…くっ…」
背骨に沿って舌が動き回る。しだいに肩甲骨、おなかの後ろ側、背中全体を這いまわった。
「…あっ…あっ…」
武史のひざが陽子をまたいだ。陽子の手がペニスを探ろうと背中を動き回る。武史ははらうようにそれを両手でつかみ、かがんでうなじに食いかかってきた。
「…あっ…あううっ!…」
…ぴちゃっ…ぷちゃっ…はぶっ…
頭の後ろで武史の頭と舌が激しく動き回る。舐め回す音がボリュームを上げて陽子の感覚を襲った。ペニスが背中に当たっている。武史が腰を動かしなすりつけていた。
…はっはっ…ぶちゅっ…ふっ…あむっ…ふっ…
口が首筋を離れたかと思うと、肩からひじを伝って腕全体を舐め回す。舌がすべり、唇が縦横に柔らかい肌を吸い上げる。
「…んんああっ…うあっ…ふあっ…」
陽子の声はすすり泣きのような喘ぎ声に変わっていった。すでに身体の火は種火ではなかった。
武史の舌が下がっていき、腰を通り過ぎた。武史の舌は陽子の尻たぶも吸い尽くす。震えながらババロアのようにプルプルと泳いだ。
「…ふんんっ…うんんっ…」
子犬のような甘えた声だった。しかし武史が両手を握り締めたまま尻たぶに顔をうずめると、少しのあいだ子犬は姿を消した。
「うあっ!…やっ!…」
顔をうずめた武史の舌が陽子のアヌスを襲った。全体をベロンと生暖かい舌が覆う。
「…ああっ!…やああっ!…ふんんっ…」
腰がビクンと震えた。逃げようと動いてもうつ伏せでは方向は限られる。
そして陽子のお尻が上に浮き上がった。すでに武史が間に入り込んで股は開かれていた。浮き上がった尻はかえって陽子の肛門を武史に晒すことになった。
「…ふあっ…ああっ…くうんん…ふううん…」
排泄の後で敏感になったアヌスを舌が這い回る。喘ぎ声は再び甘えたものになった。腰は上がったままだった。動いたのは武史から逃れるためではなかった。
「…うううんん…んんんん…」
(…きも…ち…い…いい…)
「…きもちいいんだろ…おしり…」
武史は陽子のひざを立てた。ちょっと力を加えただけで陽子のひざは自分から体勢を整えた。
花園からはすでに蜜が垂れていたが、武史は一瞥しただけでアヌスを執拗に責め続けた。
この体勢は浣腸する前に一度させられたものだったが、今度は状況が違っていた。
武史の向こうで陽子の顔はぐしゃぐしゃに泣き続けていたのをビデオカメラは捉えている。しかし涙を流して泣いていたわけではない。証に今度は腰がビクビクと動いていた。穴をほじくる舌の動きに陽子は自分から肛門を押し付けてもいた。泣き顔は完全拒否のしるしではなかった。
(…な…んで…おし…り…)
「…おしりのあな…」
「…ふうぅぅん…やあぁ…くうぅん…」
(…きもち…い…おしりの…あ…な…きも…ち…いいい…)
「…ヨウコはおしりのあなでも感じるようになったんだ…」
「…やあ…やあ…ふんん…ふうんん…」
(…わたし…おしりのあなで…かんじて…る…)
「…ヨウコのケツのあな…おいしいよ…」
「…やああああ…」
尻がグンと上にあがった。愛液が溢れて内股を伝った。
(…やああ…こんな…こんな…い…いいい…)
身体の中に炎がメラメラと広がっていた。