第33章
奥に進むと見覚えのある顔がテレビの前のふかふかしたソファーに座っていた。
顔は満足そうに笑っていた。
「また会えてうれしい…ヨウコ…」
白いワンポイントのTシャツとパンツだけの下着姿で腕組みをしながらこっちを見ていた。
パンツというよりもやわらかそうな布でできたグレー一色のゆったりとしたトランクスだった。足のないソファーから足を投げ出していた。
「…ほんとにうれしいよ…」
武史はそのままあぐらをかいた。陽子はかがんだまま近づき、距離を置いたところで武史を見下ろした。
「…持ってきたわよ…」
「ああ、ありがとう大事なものなんだ、助かるよ…」
手を伸ばしきってバッグと紙袋を手渡した。武史は紙袋を傍らに置くとバッグからカメラを出した。
「長い道のりだったろ…大変だったね…大丈夫だった?…身体なんともない?…」
「え、ええ…なんともない…わ…」
「そう…今日は陽子から誘ってくれたもんだから僕はまた、昨夜のことが忘れられなくてオマンコからおつゆいっぱい吐き出しながら走ってくるもんだと思ってたのに…」
「そ…そんなこと…あるわけ…ないでしょ…ねえ…私も忙しいの…はやく…すませて…明日用があるんだから…早く家に帰りたいの…」
「そうか…でも僕は今夜一晩ずっと陽子と一緒にいたいな…僕も寂しいんだよ…ヨウコ…すやすやと一緒に眠ろうよ…」
冗談じゃない。誰がお前なんかとと陽子は思った。しかしそれでカタが付くのならしょうがない。さっさとコトを済ませて添い寝するだけなら、これは当初思っていたほど無理なく話をつけられそうだと少し安心した。
(この人も寂しいのかな…)
「…わ…わかったわ…朝まで一緒にいましょ…」
武史の顔が赤ん坊のように明るく笑った。
「ありがとう…ありがと…ヨウコ…そんなとこにいないでこっちにおいでよ…」
そう言うと武史が手を差し伸べた。その手を取らずに陽子は武史の隣に座ろうと近づいた。
「なんでこんなことするの?こんなことしなくてもまわりに女の人はいっぱい…」
「そこじゃないヨウコ…」
「?…」
「そこに立ってよ…」
「…」
「そこだよ…」
武史はソファーの前、正面1メートル離れて大きなワイドテレビが収納された高さ1メートルくらいのカウンター棚を指した。陽子はなるべく武史から離れてカウンターに体をつけたままそこに進んだ。
「前を向いてよヨウコ…」
ここからなら地べたにしゃがんでても武史は陽子の立ち姿しか見えない。陽子は武史と向き合った。
「もっとこっちへ…」
近づけば武史の視界がスカートの中へ広がっていく。
陽子は両手を後ろにあげてカウンターに手をついた。胸を張った。
こちらからカマをかけてもし当たれば主導権がすこしでも握れると思った。
「…お…お医者さんなんでしょ…」
「…?」
「…その年からすると…な、なりたてかしら…」
「え…なんで…」
武史の顔が不安気になったように見えた。
(やっぱりそうだ…)
「…か、開業医を目指してるのなら、こ、こんな…悪いことはやめた方が…いいと思うわ…」
「?…」
「け、今朝…バッグに入ってた手紙…あれが証拠になるわよ…」
「…ヨウコ…」
「…警察沙汰になれば…しょ、将来がなくなるわ…」
いぶかしげな顔のまま武史は尋ねた。
「…なんで…僕が医者だと…」
「…紙袋の中身…みたのよ…消毒液でしょあれ…あんなの持ってるのはお医者さんしか…」
「…は、ハハッ…」
武史の顔がパッと明るくなった。今度は陽子の顔が戸惑う番だった。
「ハハハッ…ヨウコ…グリセリンが…そうか…消毒液…ハハッ…」
「…ち、ちがうの?…」
「いやいや…ヨウコ…あたりだよ…ハハッ…グリセリンは…たしかに消毒液だ…」
「…」
「でも…手を洗う消毒液じゃないよヨウコ…」
「…え?…」
「いや、消毒じゃないな…でも、たしかに体をきれいにするクスリだよ…」
「…?…?…」
「まま、いいじゃないか…あとで教えてあげるよ…ハハッそうかそれで医者だと…」
「…そうなんでしょ…私に塗らせた薬もどっかから持ち出してきたんでしょ…」
「…いや、僕は医者なんかじゃないよヨウコ…そんなに金も知恵もないよ…」
(ちがったか…でも普通の人が持ち歩くものじゃない…なにか特別な…)
「…ヨウコ…訴え出てもいいよ…僕はヨウコとこんな関係になれただけで本望なんだ…もし捕まっても陽子を恨みはしないよ…刑務所の中で公開された写真をネット上の仲間と楽しんでいよう…仲間にまた陽子を襲わせてその報告を聞いて僕は檻の中でずっと陽子を思うんだ…」
陽子は恐怖におののき、ひざを抱えてこちらを見上げてる男を見た。
(だめだ…さからえない…)
「そんな…やめて…今夜一晩は一緒にいるから…警察にも…しないわ…」
武史はニッとやさしく笑った。
「ところでヨウコ…ヨウコはいままでに何人ぐらいの人と経験があるの?…」
「…か…関係ないでしょ…」
武史の顔がかわいそうなものを見る困った顔になった。かわいい赤ん坊をどうやってあやそうかという表情だった。
「…ヨウコ…」
「…ふ…二人です…」
陽子の男性経験は大学生のときの失敗に終わった一回きりと聡の二人だけだった。交代でシャワーを浴びて、ベッドで待つ陽子に男が滑り込んであたたかいキスをしながら行う愛の行為だった。
「…なんかいくらい?…」
「…そ、そんな…ほとんど…」
「前の彼もそういう趣味があったの?…」
「…そ、そんなわけない…」
「どんなSEXしてたの?…」
「…ど、どんなって…ふつうよ…いっしょにねて…す…するだけよ…」
「口で愛し合ったことは?…」
「…ば、バカいわないで…そんなこと…したこともないわ…」
「…じゃあ、男の体なんてよくみたことないんだね…すべて布団の中でだったんだ…5分か10分ぐらいかな…」
「…と、当然でしょ…」
「一晩に一回きり?…」
「…あたりまえでしょ…」
「この身体でそれはないんじゃないかな…」
「…だ、抱き合ってるだけで幸せだわ…」
「じゃあ、僕とは全部初めての経験なんだね…刺激が強すぎたかな?…」
「し、刺激なんて…あ、あなた…あなた…変よ…おかしいわ…」
「…」
「…」
「…うん…そうかもね…」
武史が寂しそうに笑った。
「前に来て…ヨウコ…」
「…」
「これからヨウコは裸で僕と抱き合って寝るんだ…こんなとこで恥ずかしがっててもしょうがないよ…」
陽子はカウンターから手を放し一歩前へ進んだ。
(ああ…)
「ぜんぜん感じてないってヨウコが言ってたからせっかく女子トイレに忍び込んでまで用意した趣向が無駄だったかなと思っていたんだ…でもそんなことはなかったようだね。いまヨウコが胸を張ってても乳首はピンと浮き出ていたし、スカートの下には液がたれてるのがはっきりわかる…」
「あっ…」
陽子はかがんでももの内側を確かめた。たしかに指にネロッとした感触があった。
「薬が確かに効いたんだね…もっとこっちへ…」
50CMぐらいに近づいた。すこし見えてるかもしれない。
「確かめたいな…中がどんなことになってるか…スカートを持ち上げて…ヨウコ…」
陽子は戦慄を覚えた。
(そ、そんなことできない…自分でめくり上げて…中を…見せるなんて…何もはいて…ないのに…)
「…」
「…ヨウコ…」
「…ゆっ…ゆる…して…」
「…」
「…うっ…うううっ…」
陽子はスカートをつまんだ。
「そこじゃないヨウコ…スカートのはしっこ…ひざの前だよ…そう…」
(で…できない…)
「…さあ…ヨウコ…」
(…ああ…あああ…)
足をしっかりと閉じ合わせたまま両手を持ち上げていった。
「…もっと上まで…」
武史の顔がスカートで隠れた。隠れるとき、武史の顔はその部分一点を見つめながら舌なめずりをしていた。
「…うわあ…見える…見えたよヨウコ…」
(あああ…)
「明るいから毛の一本一本まではっきりと見える…ゆうべはここまではっきりとは見えなかったよ…」
(ああああ…)
ズズッと音がした。武史が前に体を寄せてきた音だった。
陽子に見えないところで武史の両手が陽子の両ももの外側に触れた。
「んあっ!…」
薬で疼いてる陽子の体は敏感に反応した。
「もっと前へ…ヨウコ…」
(ああああ…)
小刻みに足を動かし足つま先がソファーについた。
ももをやさしくさすりながら武史は続けた。
「いい匂いだヨウコ…毛がてらてらと光っているよ…途中でオナニーでもしてきたの?」
「ちがう…ちが…う…あああ…」
スカートの外に武史の頭はない。股間のすぐそばまで顔を近づけていることがわかった。かすかに武史の吐息を感じた。ひざ全体を武史の手が這いまわっていた。
「こんなに濡れてるんだよ…」
武史が内ももに片手を裏返して差し入れた。固く閉じ合わせる力はなかったがヌルヌルした液でひざはすんなりと進入を許した。
「…やっ…やああっ…」
「こんなに…ぬるぬるにして…」
武史は股間に到達しないように手を上下に動かして内側をさすった。陽子の閉じ合わせる力がなくなった事がわかるともう片方も裏返してもぐりこませた。
「ああっ…あああっ…」
ヌルヌルとさすられて腰のあたりが熱くなった。ちょっとガニ股になった体を支えようと足が少しだけ開いた。
(ああっ…みられるっ…)
閉じ合わせようとしたときには遅かった。武は抱えていた足を陽子の少し開いた足元にもぐりこませた。そしてゆっくりともう片方の足をその上に乗せ、縦に両足をそろえた。
「ヨウコ…もっとよくみせて…」
武史が両足を開き始めた。
「ああっ…やめて…やめ…て…」
手はまたひざを這いまわった。液が全体にまぶされていく。足がガクガクとなり陽子の股間がしだいにあらわになっていった。
「あはあ…みえてきた…みえてきたよヨウコ…」
武史の息がだんだんお尻の方まで通り過ぎていく。粘液がクパァと音を立てて陽子の股が開いていった。
「…すごいことになってるよヨウコ…マン汁が泡立って白くなってる…ネバネバして…何本も糸を引いてるよ…オマンコがプックリと赤くなってる…」
「い、い、い、いやああ…いやあああ…」
「…それに…すっごい匂いなんだあ…」
スウウゥゥ…
急にソコに冷たさを感じた。武史の顔がすぐそばまで近寄っていたのだ。息いっぱいに武史が匂いをかいでいた。
「すうぅぅ…はぁぁ…すうぅぅ…はぁぁぁ…」
「あ…アアゥ…アゥンッ!」
ジュルッ…
奥から湧いて出た液で、白い泡立ちが押しのけられもものほうに伝い流れていった。
武史の顔が持ち上がってスカートの向こうにのぞいた。満足そうな顔だった。
「ヨウコ…今度は後ろ向きね…」