第19章


陽子は立ちすくんでいた。口元に握り合わせた両手があった。

(…)

昨夜の悪夢はまだ消し去られていなかった。

(ここに…これに…昨夜のわたしが…)

陽子は足を広げてぺたんと床に座り、恐る恐るバッグを手に取った。

(このまま捨てちゃえばいい…)

しかし陽子は考え直した。

(でもそれだと他の人に見られるかもしれない…)

しばらく考えて陽子はバッグのふたをベリッと開けた。
そしてなるべくさわらないように指先でカメラを取り出した。バッグは口を向こうに倒れた。
ずっしりと重いカメラを両手の指先で持ちながらいろんな方向にひっくり返して周りを見た。

(カードが…メモリカードがあるはず…それさえ処分すれば…)

陽子はデジカメを扱ったことがなかったがそういうものにデータが記録されるものだという知識ぐらいは持ち合わせていた。
するとジーと音がした。動かしているうちに指が電源スイッチに触れたのだ。
カメラのレンズは向こうを向いていた。カメラは再生モードになっていた。
陽子の目にテーブルの下で足を広げている自分の格好が飛び込んできた。

「ひゃっ…」

陽子はカメラを投げ出した。だが依然としてその画像は陽子の痴態を映し出していた。

(……本当に…撮っていたんだ…)

陽子はカメラを再び手にし、また入り口を探し始めた。

(カード…カード…)

果たして入り口はあった。陽子は開けるとメモリカードを引いたり押したりして何とか抜き取った。

(これさえ…)

陽子はメモリカードを握りつぶそうとした。カードはびくともしなかった。両手でもって何とか必死で折り曲げようとしたがそれもかなわなかった。陽子はメモリカードを破壊するのをあきらめるしかなかった。

(どうしよう…)

しばらくカードを手にし考えていた。

(…削除だ…データだから削除できるはずだ…)

陽子は再びカメラを手にし、さっきの穴にカードを差し入れた。カードはなかなか入らなかった。向きがあることを理解すると陽子はカードを裏返して差し込んだ。うまく入った。
さっきより注意してカメラの周囲を見た。いっぱいボタンがあって何がなんだか判らなかった。片っ端に見ているうちに電源とシャッターボタンは確認できた。モードとかかれてるボタンを押すと次々に切り替わっていくのも判った。再生モードに再び戻し、また陽子は片っ端からボタンを押した。

(ここでできるはず…消去…削除…)

画像にかぶさり削除の文字がやっと出た。"ERASE OK?"陽子はまたそのボタンを押した。"消去中"…画面が黒くなった。
すると2枚目の画像が浮かび上がった。

(!!…)

先ほどと同じアングルだった。違うのは思い切りアップになっていたことと、その中心部分にあきらかにかわいいシミが浮かび上がっていた。

(削除…削除…)

カメラの中のシミはだんだん大きくなっていた。陽子は3、4枚立て続けに画像を消した。


画像の体裁が突然変わった。中の陽子は泣き叫んでいる。足を片方座ったまま蹴り上げるようにこちらにあげていた。そして股間は…スカートが…たくしあげられて…淡い茂みの下に二本のピンクの合わさったスジがはっきりと見えていた。

「ああああっ…」


陽子は思わず声を出した。はっきり写った誰にも見せたことのない格好をした自分がいた。

(…削除…さくじょおお…)


つぎにも同じような写真が写っていた。顔はさっきと違い戸惑っている表情に見えた。少し位置がずれていた。しかしもっと違う箇所がそこにあった。肝心な部分がゆがんでいた。いや、よく見るとゆがんでいるわけではなかった。液がソコからこぼれ出しているのだ。中から大きい雫がこぼれているのがはっきりと写っていた。そしてさっきは気づかなかったが、その下のスカートには足の合わさり目を中心として大きな丸いシミを作っていた。

(いや…いやあ…あのときだ…あのときだ…)


陽子は思い出した。この直前、トラックのこうこうとしたライトがこの大股開きの陽子の全身を照らしていったのだ。表情に戸惑いがあるのはそのためだった。

(あのとき…あのとき…わたし…わた…し…うっ…)


…ジュッ…


腰の後ろが一瞬熱くなった気がした。全身の血液が全速力で動いていた。耳が熱い。
腰にも足にも力が入らなかった。カメラから目が離せなかった。

(消せばいいのよぅ…消すの…消すぅぅ…)


悔しかった。こんな姿をとった男もこんな姿になったカメラの中の陽子自信も許せなかった。削除するとまだある次の写真が画面に映った。

「ひいいいっ…」


最後のシーンだった。陽子の顔は向こうにあった。また泣き叫んでいる。しかし少しピントがずれている。ピントが合っているのは手前のほうだった。股は全開といえた。これ以上ないくらいのアップで陽子の股間が写っていた。ペンライトで照らされてすべて写っていた。淡い陰毛が濡れてところどころ光っていた。ピンクの合わせ目の上にクリトリスが大きく膨らんでいた。所々のしわまでがはっきり見えた。肛門もなにもかも…

陽子は自分の大事なところを初めて見た。学生の頃保健で習った図式と同じだった。図式は二通りあったが少女期だか成人前だかの成熟する前の図と似ていた。陽子はボタンを押し続けた。しかし続けて出てきたのは図式とはちょっと違った。

明らかに液が放出されていた。合わせ目は少し口を開いてその奥に黒い小さな闇があった。"穴"だと改めて思い知らされた。女性はこの中に男性器を受け入れるのだ。

じゅっ…


画像を消し続けた。"穴"が開いたり閉じたりしてどんどん中から液を吐き出している連続写真だった。液はどんどんお腹のほうに垂れていっていた。最中に男が投げかけた言葉が次々に頭をよぎった。

(陽子のにおいで集まってくる…)
(逃げても逃げても男たちは陽子の穴をめがけてチンポを…)


「あああっ…」


ドプッ…ジュルッ…ドロッ…


陽子の腰が前後に動いた。パンツをはさんで床にヌルヌルと擦れた。

肛門だけのアップの画像も合った。

(黄色いのが付いてる…スンスンスン…)

「うあぁっ…」


ビュルッ…ドッ…プッ…


(体中にザーメンを…)


「クゥゥッ…」


(許してえ…許し…てえ…)


ビジュルッ…ゴパッ…


今日になって二回目の絶頂だった。さっきのように小さなうめき声しか出なかったが言葉になってなかった。軽い絶頂だったが腰が止まらずまた細かく2回ほど達した。



「はあ、はあ、はあ…はああ…」

画像はすべて消えた。口の中に唾がいっぱいたまっていた。

(…もう…終わりよ…おわり…)
「はあ…はあ…はあ………」


後ろから見るとパンツは既に透けており絨毯にまで大きなシミを作りかけていた。



目次へ       続く

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