第15章
陽子は眠りから覚めた。夢も見ずに熟睡したのか気分はすっきりしていた。時計を見るとまだ朝の4時半だった。
(今日は早いな…)
何でこんなに早く起きたんだろう。いい心持でまどろみながら陽子は考えた。
(昨日は…… … …!)
記憶が蘇った。まどろみは吸い込まれる煙のように吹き飛んだ。
(ああ…)
息を思い切り吸い込んだ。異臭が陽子の鼻腔を強烈に刺激した。男が陽子の口の回りを汚していったしるしだった。陽子は胸やお腹を服の上からさすった。股間に触る勇気はなかった。ベッドから出るとカーディガンを脱ぎ捨て陽子はバスルームに向かった。
シャツを脱ぐときに手首に見慣れないものがあった。手錠に押し付けられた痣があった。陽子の頭に、押さえつけられたときの後ろに手錠のカチリ、キリリという音がよみがえった。ブラジャーを取ると胸に軽い痛みが走った。
(!…)
腫れ上がってはいなかったが乳首が一回り赤く大きくなっていた。お腹には曲がりくねった濡れ乾いた線があってさわるとぺたぺたと指に吸い付いた。
スカートを脱ぐときに陽子は今日はじめてノーパンであったことに気づいた。ひざには手首とは比べ物にならないほどのひどい痣があった。特に左ひざはグルグル巻きにされたのがあからさまにわかるほど幾重にも横に線をかたち作っていた。しわくちゃのスカートを下ろすといつも着けているはずの物はなくすぐに裸の股間が現れた。スカートの後ろ側がのりで固めたように固く乾いてるのがわかった。股間が高く突き上げさせられその中心に指をつきたてられてる光景がよみがえった。鏡を見上げると口紅がにじむように外にはみ出し、泣き腫らした目のひどい顔があった。
(ぅぅぅ…)
また涙が出そうになるのをやっとこらえると、靴下を脱ぎ、全部を洗濯機に放り込み風呂場に入っていった。