第148章


武史は夢うつつで目が覚めた。最初は自分がどこにいるのかわからなかった。ただ、光の差し込む夜であることだけが、事実としてわかるだけだった。胸になにか、すごく柔らかいものが這っている。暗がりの中で焦点が合うと顎のすぐ下に黒いふさふさしたものがいた。やがてそれが人間の頭だとわかったとき武史は仰天した。
陽子と一緒に自分は寝ていた。その陽子が自分の胸のところにいる。なにが起きているのかすぐにはわからなかった。
陽子が自分にそんなことをするなど当然予想だにしていない。なんと自分の肌に舌を這わせているのだ。どう反応していいかわかるはずもなくおぼろげな意識のまま、武史はさせるがままにした。

胸の鼓動が激しくなってきた。いままで見たことのない、違ったなにか別のものがそこにいる。いまはなぜか陽子の身体を掴んではいけないような気がしていた。


…れろ…ぺちょ…れろ…


「…うあぁんっ…」


そしてねっとりと動く陽子の舌が乳首を捕らえたとき、とうとう武史の吐息は声帯を小さく震わせてしまった。
その声を聴いたのか、ゆっくりと陽子の顔がこちらを見上げた。

陽子は夢を見ていた。夢見るような顔だ。いや、夢を見ているのは自分のほうなのか。たぶん自分も同じような顔をしている。お互いの後ろに視点を置いたような目で、しかしながらお互いだけを見つめている。

月の光が照らしている。陽子の頬がわずかに上がり、微笑んだような表情を見せた。武史は、その小さい唇に隠れている濡れた舌に引き寄せられるように顔を寄せていった。しかし陽子はそのまま、また胸に頭をうずめ、乳首に再び温かい感触が広がった。




(…気持ちいいんでしょ…)


陽子は頭の中でそうつぶやくと、固くなったその小さなしこりを唾液でまぶした。
唇で挟み舌で転がすと、おもしろいように男の身体が静かにぴくぴくと跳ねる。おなかのあたりに熱いものがいつのまにか固く当たっているのに気づいた。
いままでどこにあったのかも定かでなかった手が動いて、陽子は二人の身体の合わさり目に指を差し込んでいった。

ペニスに触れた瞬間、男の身体がびくんといっそうすくむような震えを見せた。

さっきから男に反応があるのが嬉しかった。男は感じている。感じさせているのが自分であることに悦びを覚えていた。

とても熱い塊だった。陽子はさもいとおしそうにペニスをさすった。形を確かめるように指を這わせると、こんどは身体ではなくそのペニス自身がぴくぴくと震えるのが面白い。
下の方にはやわらかい袋がある。初めて触ったが思っていたより皺は多くないようでまた奇妙だ。縮れた陰毛がぱらぱらと指に遊ぶ。皺の表面を指の腹で軽くなぞると、むずがるように男が腰を引いた。


(…くすぐったいの…)


手に取るようにわかった。わかりやす過ぎるほどの反応に、陽子は優越感を感じていた。


(…やっぱりこっち…)


陽子は触るのを棒のほうに戻した。逆さに握ると手首に近いところに、乾いてないつるつるしたものがある。それがどういうものか本能が理解していた。剥き出しになったこういう部分は自分にもある。陽子は薬指と小指を、そのつるつるした亀頭にまとわりつかせた。思ったとおりペニスが踊るように跳ねた。


(…気持ちいいんだね…ほら、暴れないで…)


陽子はペニスをそっと逆さに握り締めた。乳首を吸い上げ、舌先で転がしながら薬指と小指の指紋で亀頭を愛撫した。
すると固いペニスがぐんっぐんっと脈動して、さらにはちきれんばかりに手の中で太さを増した。
そして途端に薬指に摩擦感がなくなった。男性が濡れる、という知識は再三この男に逢ってから教えられている。

ぬるぬるしたものを亀頭に塗りつけながら陽子は思った。
熱く濡れそぼったものなら、いま自分にもある。腰の辺り全部が負けないくらい迸っているのだ。


(…ほし…い…)


陽子は男の胸から口を離した。月明かりが顔を照らす。光だから遮りようがない。目や口、あらゆるところに月光が入り込み、いっぱいになっても尚侵み込んでくる。それはドロドロと濃くなりうねりを放ちながら、身体の中から強い光を放つ。細胞の一つ一つが溶けていた。


(…ほ…し……んっ…)


陽子の身体がぐっと動いた。察したように男の手が背中に回る。陽子もペニスから離した手を男の背中に回した。せり上がってるのか、男がせり下がったのか、そして二人の身体がちょうど良い位置に密着した。


(…ほし…い……の…)


届くようで届かない。陽子の膝が曲がり、片足が男の身体を飛び越えていった。
二人とも手を添える必要などない気がしていた。そのとおり、ポイントを探るのに全く時間は掛からなかった。


…ぐちゅ…


(…ハ…ア…)


とめどなく溢れる蜜の中心に熱い固まりが当たった。
目は瞑ってない。しかし開けてても月光で満たされた陽子の目はなにも見ていないに等しかった。陽子はすぐそこにあった男の首筋にむしゃぶりついた。


「…アムッ…ンッ…」


「…ンッ…ン…」


男が小さいうめき声を上げた。陽子は腰を男に寄せていった。


…ぐち…ズ…ぶ…


「…クゥゥーーーーー…」


待ち望んだ瞬間だった。やっとソレが膣口を割り開いてきてくれた。やっぱりコレしかない。指なんかじゃダメなのだ。陽子は高音の小さな叫び声を挙げた。歓喜以外のなにものでもなかった。男も同時に同じような声を発した。


「…クゥ…ウウゥゥーーー…」


「…ンキュゥゥゥーーーンンーーー…」


ペニスの先が、熱くドロドロに溶けたものに包まれていく。武史も陽子も身体はさほど動いてない。その部分自体が煮えたぎるように蠢いていた。


「…フグゥゥーーーンンン…」


陽子の髪の匂いに包まれ、武史も首を交差して陽子の首筋にしゃぶりついた。


「…ッ…ッ…」


一瞬陽子の身体がこわばり、武史は熱い液体がぷしゃっとペニスに降り注ぐのを感じた。







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