第133章


おなかの中が勝手に蠢き始めるのが陽子自身にもわかる。流し込まれているのは排泄を促す薬液であることを改めて思いだした。


…ぐぎゅ…ぎゅるるるる…


「…あ…あ…」


それは最初に浣腸されたあのホテルのバスルームで経験済だった。あのときと同じ苦しみが陽子を襲い始めた。


「…も…もう…だ…め…とい…れ…」


「…もうしたくなった?…」


陽子は自分がいま置かれた立場とこれからどうなるだろうことを考えた。丁度バスルームで椅子に縛られたときのことを思い起こしたからである。


「…だめ…でる…で…」


普段の、便秘から開放されたときのその"量"がどれほどのものであるかは当の陽子自身がよく知っている。ときには30分以上もトイレに閉じこもることさえあるのだ。トイレタンクのレバーを何回も引きながら、しかもそれでも爽快感に到達しない場合だってある。

陽子は思った。さっきテーブルの上で出した量、確かにあれですべてではない。いつもから考えると、やっと半分ぐらい出したに過ぎないかもしれないのだ。そしてあと半分、いやもっとだろうか、は普通、時間をかけでもしないと出てくれないのだ。
しかしそれらが待機しているおなかにただの水ではない液体が詰め込まれた。有無を言わせぬ排泄感が中でうねりながら大きくなっている。


「…いや…もうがまん…できな…いっ…でちゃ…でちゃう…」


普段下痢などこういう感覚に襲われたら取る行動は一つしかない。一目散にトイレに駆け込むのだ。その記憶からか我慢しようと肛門はピクピクと口を閉じ、棒は引き込まれたままだった。しかしいまは体勢一つ変えられない。

しかしはなから我慢できるような状態でないのだ。わずかな油断でイキんでしまいそうなこのいまの状態でトイレまで移動することは、考えろというほうがもう無理な話だった。

見られるのだ。広々と床にビニールを敷いているのはそのためなのだ。男は強制的に、さっきの陽子が"自分で"排泄するところと、いまからの"無理やり"排泄させられるところの、両方を見物しようとしているのだ。男がこの拘束を解くことはないだろう。陽子はここからもう動けないことを思い愕然とした。

このまま出すことになったら、その光景の予測は推して知るべしである。栓を吹き飛ばし、一気に内容物をぶちまけるだろう。しかもここはトイレでもバスルームでもない。読書をしたり食事もする、ゆとりあるはずの生活空間である。人として生きるならば、絶対に人生の中にあってはならない光景だった。
世の中の定め以前の問題だ。禁じられる、られないは関係ない。自分が守り抜いてきたものを自分の手で壊させられるのだ。


ここはトイレではない……それを…観られる……いまから……


(…ここで…するんだ…)


そのとき陽子の声が低音に変わり、我に帰った落ち着きを取り戻した。


「…やめて…みないで…」


少しの沈黙が流れた。男の手はいまだゴム球を握り締めて動かないままだった。醒めた静寂の中、陽子のつぶやきだけがこだまする。


「…ほどいて…といれ…」


…ぎゅるるるるるる…


言葉よりもその音のほうが大きかった。中で腸がもぞもぞと蠢きながら暴れ回り出す。
陽子の声が再び高音に向かってスロープ階段を疾走するかのごとく元の位置に急上昇していった。


「…みな…みないで…いやっ…みっ…みないでっ…やっ…いやっ!…でるっ!…でちゃうっ!…みないでっ!…みないでっ!…」


押し出す力が一気に駆け上ってきた。波が出口に向かって肛内を大きく圧迫した。もうこらえきれなかった。


「…みないでっ!…もうだめっ!…はなれてっ!…でるっ!…でちゃうっ!…でっ!…」


…ぐっ…ぷちゅ…


口を閉じているつもりの肛門が力を一気に抜いた。挿入された黒棒がぐんと後退したので武史にもわかる。しかしそれはせいぜい5ミリぐらいのものでしかなかった。ただ元の位置に戻っただけのはなしである。漏れ出た液がしずくとなって一滴だけ風船を伝い落ちただけだった。


「…あ…あ…」


(…で…ない…でない…だ…だせ…な…い…)


「…んっ…んんんっ!…」


「…出せないよ陽子…」




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